A picture obtained by AFP from Iranian News Agency ISNA on June 13, 2019 reportedly shows fire and smoke billowing from the Norwegian-owned Front Altair tanker, one of two vessels hit by suspected attacks in the waters of the Gulf of Oman.

◇松野仁貞のワールドリポート

 中東ホルムズ海峡付近で日本の海運会社のタンカーなど2隻が攻撃されたことに関して、複数の国際軍事筋は「米国の謀略。自作自演の可能性が極めて高い」との見方を示した。同筋は、「謀略を主導したのは『悪魔の化身』と評されるボルトン国家安全保障問題担当補佐官で、道化役を演じたのが安倍晋三首相」と語った。

 タンカー攻撃について米国はイランの関与を主張。中東に展開している米中央軍はイランの最精鋭部隊「革命防衛隊」のボートがタンカーに接近している映像を公表、米CNNテレビは米軍の無人機がミサイル攻撃されたなどと報道しており。英国、イスラエルなど米の友好国が同調している。

  米中央軍が撮影したタンカーの画像では、海面から上の船体部分が2カ所損壊。中央軍は13日の声明で「リムペットマイン」と呼ばれる吸着型機雷による攻撃と断定した。

 これに対して、攻撃されたタンカーを運行する国華産業(東京都千代田区)の 堅田豊社長は①船体の損壊部が海面よりかなり上にあるため「魚雷や機雷による攻撃の可能性はない」 ② フィリピン人乗組員の目撃情報から「何かが飛んできて爆発した」 との主張を一貫して崩していない。

 

ホルムズ海峡付近で攻撃を受けたタンカーに接近するボート。米中央軍は、イランの精鋭部隊・革命防衛隊の巡視艇が13日、日本のタンカーに接近し不発機雷を除去したと発表した=米中央軍提供の動画より(AFP時事)

 こうした状況の中で、国際軍事筋は「中央軍が公表した映像は夜間撮影で不鮮明。リムペットマインの着脱は簡単な作業ではない」としたうえで「デジタル記録物は、ねつ造、偽造の加工が施しやすく明白な証拠にはならない」と述べた。ボルトン補佐官はイラク侵攻の黒幕ともされる人物で、同筋は「偽情報を流してイラクに対する国際的な包囲網を作り出した手法と今回の手法は同じ」と分析する。

 また別の国際軍事筋は、「タンカー攻撃はイランの最高指導者ハメネイ師と日本の首相の会談中に発生した。ここまでのタイミングの良さは偶然ではなく手の込んだ必然と断定できる」と指摘する。

 そもそもが今回の安倍晋三首相のイラン訪問自体が各国首脳の間では「謎」だったという。安倍首相について複数の在京外交筋は「端的に言えば『無能』というのが各国首脳間の共通認識。まともな政治家として認めている国は皆無。しいて上げれば米国ぐらいだが、米国の認識は友好国の指導者というよりも言いなりになる道化」と解説する。

 その安倍氏がイランに乗り込む。常識ではありえない話だが、ボルトン補佐官サイドの甘言に乗せられたとの見方が根強い。永田町関係者は「トランプ大統領の来日に同行したボルトン補佐官から『イラン訪問を成功させれば衆参同日選で圧勝。さらなる長期政権、ノーベル平和賞も確実』などと執拗に吹き込まれた節がある」と明かす。イラク訪問後、衆参同日選挙は立ち消えとなっている。


イランの首都テヘランで会談に臨む最高指導者アリ・ハメネイ師(右)と安倍晋三首相。イラン最高指導者事務所提供(2019年6月13日撮影)。(c)AFP PHOTO / HO / KHAMENEI.IR

 タンカー攻撃を受けたのが米国ではなく友好国で、友好国の首相が訪問中という状況ならば米国主導での反イラン国際世論を作りやすくなる。「国益・日本国民など全く頭にない男が道化を演じた」(国際軍事筋)ことになる。

 米紙ウォールストリートジャーナルは『A Novice Player Gets a Painful Lesson in Middle East Peacemakingとの見出しで安倍首相のイラン外交を報道。「Novice」(未熟者、初心者)とかなり控えめな表現ながら安倍外交の本質を伝えている。

https://www.wsj.com/articles/a-novice-player-gets-a-painful-lesson-in-middle-east-peacemaking-11560510619?fbclid=IwAR0Jh-mc3V3OCAJejFyZlTf9INOEp3VTpcGFKezBr34TyLMwVdyHg5jY4cc


 一方で、イランはタンカー攻撃への関与を一貫して否定。時事通信によると、イランのザリフ外相はツイッターに「米国は事実に基づいた証拠なしにイランのせいにしている」と投稿、ボルトン米大統領補佐官やイスラエルのネタニヤフ首相ら対イラン強硬派が、外交ではなく「プランB」(対決路線)に突き進んでいると批判したという。

  こうした中、グテレス国連事務総長は「事実関係や責任を明確にすることが非常に重要だ。それには独立した団体が事実関係を検証するしかない」として独立調査を要求した。だが、「事務総長に調査を始める権限はない。安保理だけができる」としており、独立調査の動き出す気配はない。

 「タンカー攻撃は、米国が直接手を下したか資金援助している組織を使ったかは判然としないが、状況は米国の筋書き通りに動き始めている」と国際軍事筋。「米国の本格的なベトナム介入の 口実を作った『トンキン湾事件』を思い起こさせる」(同筋)という。

 「都合の良い状況を作り出すためのメディアを使った情報操作が激しくなるだろうが、トランプ大統領の出方が焦点だ」と在京外交筋。同筋は「トランプ大統領は、共和党主流派と軍産複合体を背景にするボルトン補佐官ら強行派とは温度差があるとされるが、それが『ダブル・スタンダード』ならば重大な結果を招くことになる」と解説している。

                         (World Review 編集長 松野仁貞)